Q.境界をこえた根は切り取れるか?
【ご相談内容】
家が手狭になったため、隣地との間の空地に増築する事にしました。基礎工事が始まって地面を掘ってみると、隣地の庭の木の根が境界をこえて増築予定地内まで延びてきてました。この根を切らないと増築工事ができないとのことですが、勝手に切ってよいでしょうか?
A.境界をこえて延びてきた根は、その木の所有者の承諾をえなくても切り取ることができます。
【説明】
民法では、境界をこえて延びてきた根は、境界をこえて張り出してきた枝と異なって、切り取ることができるとしています。
根が境界をこえて延びてきた場合、その木の所有者は植替えをすることで根の越境を解消することができないではありません。しかし、根は枝ほど重要ではなく、植替えの機会を与えるほどの必要はないと考えられたため、その木の所有者に請求するまでもなく、切り取ることができるとされているのです。
※ちなみに切り取れるとはいっても、むやみやたらに切り取ることまで認められているわけではありません。切り取ることが権利の濫用に該当して、認められない場合もあります。
…では切り取った根は誰のもの???
切り取った根は、通説は、切り取った者の所有物となるとしています。
切り取った根も木の所有者の所有物だとすると、根を切り取った者は、切り取った根を勝手に処分できないことになります。しかし根の切取りを認める以上、それでは実際上不都合と思われます。したがって、切り取った根は切り取った者の所有に属すると解したいと思います。
権利関係ってややこしいですね…私は権利を主張する事より、日頃からコミュニケーションをとり良い関係で話し合いができる様に心がける事の方が大切かと思います。